作品によせて[14]

マリ=アンジュ・ブレイエ(アートディレクター)

イブリーヌ・デュブック、彼女の眼差しは、他の者とは異なっている。その作品は、目に見える叫びであり、地震のような問いかけであり、視覚のシンフォニーであり、めまいを感動に導く装置である。目のための音楽であり、その波動は、万物が永遠を通って不可視から可視へ至ることを我々に教える。イブリーヌ・デュブックは、無記名のフォルムが空間を逃げようとするとき、その表情をはっきりと捕まえる。これらの波動はどこへ行くのか? 誰も知らない。時間のように、動きもまた永遠である。瞬間は、現実と想像の距離によって感じられる。感動が物質と魂を和解させる。感動の迷宮の中から新しい世界が生まれ、人間の感覚に揺さぶりをかける。「物質は要求する。芸術が物質を生かすことを」。空間はそれを意識する者に属する。デュブックは、空間の記号をとらえ、昼と夜の間の薄暗がりに解き放ってやる。デュブックが展開する眩惑の神秘は、汲みつくされぬ瞬間の中にある。意味は転倒し、もっと広大な地平が我々の眼前に現れる。犠牲者としての紙から作品が生まれ、さらにそこから純粋な記号が生まれてくるのが見える。
時の裸体を刻むこと。フォルムを沈黙に委ねること。
色彩の名に持たぬ叫びに耐えること。
魂の未来の空間を感じること。物質は物質のまま。肥沃なまま。瞬間は狂気に至るにまかせる。

『ASAKUSAÉ(浅草へ)/Orientation 50°Nord』p.56

関連展覧会:
  • t01 日本・ベルギー現代美術交流展 「ASAKUSAÉ 浅草へ」(日本展)
  • t02 日本・ベルギー現代美術交流展 「Orientation 50° Nord」(ベルギー展)


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