ギャラリー・サージ

活動年:1989年 --2015年

場所:東京都千代田区岩本町2-7-13
 渡辺ビル2F/1F

ディレクター:酒井信一
オーナー:渡辺千恵子

ギャラリー概要:

ギャラリー・サージは、1989年2月から2015年までの26年間にわたり、数多くの現代美術の展覧会を実施しました。ギャラリーを営んでいた渡辺千恵子と、画廊パレルゴンⅡを主宰していた酒井信一が、東京・岩本町で共同で立ち上げたものです。当初はビルの二階にあったギャラリーは 1991年には一階に移動し、通りに面したガラス窓から見える展示の様子が、道行く人の視線を惹きつけました。

ギャラリー名の「surge」には、「新しい “うねり (surge) ” 」という意味が込められています。若い世代を中心とする新しい表現を受け入れ、作家同士の批評の場であることを目指した画廊パレルゴンⅡの流れを受け継ぐと共に、この場は、90年代以降の新たなテクノロジー技術を用いるインスタレーションや、サウンドアート、ビデオアート、パフォーマンスなどの表現の場としても機能していくことになります。

また、ギャラリー・サージは作家主体(アーティスト・イニシアティブ)の国際交流展企画・運営の拠点ともなりました。1990年にサージを事務局とするICAEE(国際現代美術交流展実行委員会 *下記参照)が立ち上がり、海外のギャラリーとの連携を元に、国内外の作家による数多くの国際交流展が開かれます。ここで目指されていたのは、単に作家間の交流やそれぞれの国や地域の作家紹介にとどまらず、現代における芸術表現のあり方を他者(他国)の視線で眺めることを通し、その社会的機能に着目すると同時に表現の枠組を広げることでした。

ICAEEの活動は、2000年代に入り国際交流展「パドゥルズ」を主催する「W・キューブ・プロジェクト」に引き継がれます。それに伴いギャラリーの展示もパドゥルズと連携し海外作家を招いた展覧会が多く開催され、観客や作家自身に大きな刺激を与えることになります。しかし2000年代後半に入ると、自ら展示場所を求める若手作家の減少という国内状況により、ギャラリーは一日限定開催のコンサートやパフォーマンス等へのシフトを余儀なく促され、2016年に最終的に閉廊という形で、その役割を終えることになります。

活動期間中、ギャラリーでは、個展・グループ展・公演等、計461回の展覧会が実施され、参加した作家は398名(のべ800名)にのぼります。また海外との交流展に参加した作家も100名以上となります。ギャラリーあるいはICAEE等の活動は終結しましたが、この間行われた非常に精力的な試みは、現代の芸術/社会状況を考える上で、表現に携わる者に多くの足がかりを残しています。

参考:寄稿(渡辺千恵子

展示概観 (佐藤時啓 1993年)

ICAEE(国際現代美術交流展実行委員会)について
ICAEE(Executive Committee of the International Contemporary Art Exchange Exhibition)は、主として現代美術の先駆的・実験的分野(インスタレーション、テクノロジーアート、サウンド・インスタレーション、パフォーマンス等)の展覧会や公演をオーガナイズしてきた非営利組織です。1991年より活動をスタートし、日本ベルギー現代美術交流展(東京&ブリュッセル、1991)、日本オランダ現代美術交流展(アイントホーフェン&東京、1995─1996、および2001)をはじめ、海外の組織との共同企画による交流展や公演を数多く手がけました。
海外のアーティストを招聘し、また国内のアーティストを海外へ派遣して、旧校舎、公園、旧工場などを舞台に、現地において制作から展示・発表までをおこなうスタイルの交流展を実施、アーティスト同士の対話と交流を重視し、コマーシャリズムとは一線を画したアーティストの活動をサポートしました。
[代表:酒井信一/事務局:ギャラリー・サージ内/ICAEEは2017年に特定非営利活動法人を解散]

参考:国際現代美術交流展(ICAEE)一覧

「国際交流展/ギャラリー・サージ」 実施年表(横スクロール)

資料:
規約書  
オープン挨拶