寄稿(Gallery Surge 代表 渡辺千恵子)
アーカイブ・サイト公開に際して、ギャラリー・サージ代表の渡辺千恵子氏から文章が寄せられました。
アーカイブ・サイト公開にあたって
芸術家の個展、グループ展の主流だった銀座から、1980年代に、神田界隈に若手現代アーティストのための小さなギャラリーがポツポツと出来始め、画廊パレルゴンⅡ、ギャラリー・サージもそのひとつでした。コンピュータや携帯電話が、まだ特別だった時代。カメラがデジタルになったのもサージの後半からでした。
ギャラリーで展覧会を開くアーティストの傾向としては、絵画のように手元に残る作品から、もっと自由な表現をと、多くの若者はギャラリー全体がひとつの作品になるインスタレーションの手法をとっていました。展覧会期間が終われば、消えてなくなる作品を現代アートとして、フィルムカメラに撮影し記録することを重要と考え、コツコツ写真に撮りためていたのがパレルゴンⅡ代表の故酒井信一氏です。後にサージのディレクターとして、また、国際現代美術交流展実行委員会の代表として多くの企画展を開催しました。
2015年にサージが終了し、その後この膨大な記録をアーカイブにすると言ったことに対し、何の意味があるのかと少々否定的だった私です。しかし、このアーカイブがウェブになり、時代が変わった今、こんな時代にこんな様々な作品があったことを多くの皆様にご覧いただくことが、ひとつ大切な意味になってほしいと思っております。
長年に渡り、ギャラリー・サージをご愛顧くださった皆様、国際交流展等企画展に様々な形でご協力いただいた皆様に心より深く感謝申し上げます。
Gallery Surge 代表 渡辺 千恵子