text02_13
『ASAKUSA E (浅草へ)/Orientation 50°Nord』カタログ(1991) 所収どうしたら、平凡なイメージを土や石膏、コンクリート、ブロンズといった素材に定着させることができるのか。私はこれら伝統的な素材のもつ本質的なリズムや性質を追求したい。素材には常に色彩的記号を負わせている。表面を制作すると素材─色─行為の全体に、その最終的な光度が与えられる。
石膏とコンクリートは白と鋭さ、土は凡庸と柔軟、ブロンズは鈍さ。
奇妙なことに、小さな作品は、巨大な物を想わせ、巨大な作品は親しみを感じさせる。
空間における作品の表示と密度についても常に考える必要がある。
私はこの方10年、この問題と取り組んでいることになる。自分の欲求から作る作品も、注文に応じて作った作品も、彫刻という仕事の様々な面を私に見せてくれた。