作品によせて[7]

平川 典俊(参加アーティスト)

私は、現在の現代美術の状況と無縁である。
美術の歴史の蓄積の中に、現代美術の新しい発見はない。
これから新しく生まれてくる現代美術の作品に対して、適正な判断を下せるギャラリー、美術館のディレクター、キュレーターは、皆無である。また、既に現在活躍している世界の現代美術作家の少なくとも9割以上は、現代美術作家とは言いがたい。
ここ5年間のうちに現代美術は、作品の持つコンテキストと意味において、あらゆる学問の領域を凌駕してその重要性が明らかになる。
決して現代美術はアカデミズムの延長線上には存在せず、また現代美術作家は私を含めて、社会の中のマジョリティに属することができないはずだ。
東アジアでの現代美術の状況は、軍隊的ヒエラルキーが存在するだけで、作品は鑑賞の対象ではない。
ヨーロッパでの状況は、ほぼ完成した物理的システムがあるだけで、作品は鑑賞者に意味をもたらさない。

『ASAKUSAÉ(浅草へ)/Orientation 50°Nord』p.48

関連展覧会:
  • t01 日本・ベルギー現代美術交流展 「ASAKUSAÉ 浅草へ」(日本展)
  • t02 日本・ベルギー現代美術交流展 「Orientation 50° Nord」(ベルギー展)


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