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『ASAKUSA E (浅草へ)/Orientation 50°Nord』カタログ(1991) 所収子供時代、毎日学校へ行かねばならないということは、私にとって実に不愉快なことでした。この世の中で、誰もが行かねばならない社会制度上の場所は、学校以外、他に存在するでしょうか。学校という存在、或いはその制度に疑問を抱き続けてきたにもかかわらず、私は、この学校のシステムに相変わらず関わり続けていくことでしょう。(私は、学校で美術を教えていますので。)
初めてこの金竜小の校舎に足を踏み入れた時、既に廃校となっていて、現役の空間ではないにもかかわらず、この建物が学校システムの感化を受け、そしてその重みがのしかかっているのを強く感じました。そして同時に、この学校にも以前は、登校拒否児達がいたに違いないということに思いを巡らせました。私はといえば、しばしば登校拒否児のようで在りたいという願望をもちつつ、しかし一歩手前で、登校拒否児とはならずに生きてきました。
ところで、登校拒否児の置かれている状況と、現代美術作家の社会に置かれている状況を比較してみようかとふと思いました……少し残念なことなのですが。