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『ASAKUSA E (浅草へ)/Orientation 50°Nord』カタログ(1991) 所収■空間をつくる
堀り返された工事中の道路、ビルや住宅の建設ラッシュ。あっという間に変貌する風景。どんどん変わる伝統的な住まい、衣服、礼儀作法。これが現在の日本である。これを無秩序というべきか。おそらく、然りだろう。しかし、この変わりやすさ、流動性こそ日本文化の特徴なのだ。
日本の住居を見ると、この流動性は部屋や家具の使い方にも見られる。襖、障子、屏風などがそのいい例だ。時と場合に応じて動かせば、外観も雰囲気もそして部屋の機能さえもがらりと変わる。
立体的に創られた私の作品は、表裏の別なく塗られ、置く場所、観る位置によって色も形もさまざまな面を現す。つまり、私の作品というものは、ある場所に据えられ、観客が視線を当てることで完成するのである。