作品によせて[3]

伊藤 七男(参加アーティスト)

■空間をつくる

堀り返された工事中の道路、ビルや住宅の建設ラッシュ。あっという間に変貌する風景。どんどん変わる伝統的な住まい、衣服、礼儀作法。これが現在の日本である。これを無秩序というべきか。おそらく、然りだろう。しかし、この変わりやすさ、流動性こそ日本文化の特徴なのだ。
日本の住居を見ると、この流動性は部屋や家具の使い方にも見られる。襖、障子、屏風などがそのいい例だ。時と場合に応じて動かせば、外観も雰囲気もそして部屋の機能さえもがらりと変わる。
立体的に創られた私の作品は、表裏の別なく塗られ、置く場所、観る位置によって色も形もさまざまな面を現す。つまり、私の作品というものは、ある場所に据えられ、観客が視線を当てることで完成するのである。

『ASAKUSAÉ(浅草へ)/Orientation 50°Nord』p.44

関連展覧会:
  • t01 日本・ベルギー現代美術交流展 「ASAKUSAÉ 浅草へ」(日本展)
  • t02 日本・ベルギー現代美術交流展 「Orientation 50° Nord」(ベルギー展)


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