“Seeing / Hearing / Speaking”
飯村 隆彦 DVD展
飯村 隆彦
会期:2003年6月16日---6月28日
作家名:飯村 隆彦
イイムラ タカヒコ
形態・素材:モニターテレビ、ビデオプロジェクター、DVDプレーヤー、写真、額
協力:三菱電機株式会社
トーク&シンポジウム:6月20日19:00~ 入場料 500円
◼︎飯村隆彦によるトーク
オブザーバ/オブザーブドと Seeing / Hearing / Speaking について
◼︎シンポジウム「飯村隆彦のメディア・アート」
クリストフ・シャルル (アーティスト・武蔵野美術大学助教授)
波多野哲朗(日本大学大学院教授)
日本の実験映画の草分けの一人として国際的に活躍する飯村氏は、1960年代初頭にオノ・ヨーコ、赤瀬川原平、小杉武久、土方巽らの前衛芸術家とともに、実験映画のゲリラ的な自主上映活動を開始しました。62年には、東京湾のゴミを映した処女作「くず」を発表し、64年には、大林宣彦をはじめ、今日、第一線で活躍する映像作家たちと実験映画集団「フィルム・アンデパンダン」を結成し、我が国初の実験映画祭(紀伊国屋ホールにて)を行いました。
その後、ブリュッセルの実験映画際での受賞(特別賞)を皮切りに、数々の国際展に出品し、66年にはニューヨークの実験映画のリーダー、ジョナス・メカスによって作品「Ai (Love) 」が高く評価され、ポンピドゥー・センター(パリ)やホイットニー美術館(ニューヨーク)で個展とパフォ-マンスを行いました。さらに89年には、建築家の磯崎新、 作曲家の小杉武久の協力を得て制作された作品「Ma: Space」 が、モントリオ-ル映画祭、ユネスコ美術映画で賞を受けるなど、輝かしい成果をあげています。また、近作では、システムGを用いた、音とイメ-ジのコミカルなビデオ作品「あいうえおん六面相」が、4ヶ国の国際映画などで上映され、8つの賞を受賞しています。
今回の作品は、CD-RM、DVDによる「Observer / Observed」と「Seeing / Hearing / Speaking」で、どちらも、知覚と映像システムの間で起こるズレを言語によって顕在化させたもので、ビデオ・システムの映像と言語の構造的な関係に着目したものです。2台のカメラが互いに向き合うようにセットされた閉鎖的な映像回路によって、言葉が指し示すものと視覚イメージがとらえるものとの間に生ずる分裂を、飯村はビデオメディアのユニークな原理として提示しました。
「ビデオの記号学」ともいえるこうした研究は、これまでのビデオ・システムから、CD-RM、DVDといった新しい技術を手にすることで、また新たな一歩を踏み出そうとしています。(S)
(photo:S)