ビデオ・インスタレーション作品「On Reflection」は、これまでにロッテルダムとマーストリヒト（オランダ）、インスブルック（オーストリア）で発表され、東京で４回目を迎える巡回・継続型のプロジェクトです。

会場となるギャラリー・サージには、ブルーシートで造られた仮設のスペースが、展覧会初日のオープニング時に一時的に設けられます。その中にはビデオカメラとモニターが配置され、カメラは来場者を撮影し、モニターには前回の開催地での映像が映し出されます。オープニング後、この仮設スペースは解体され、部材として会場に残り、モニター映像は、東京での来場者映像にとって替わることになります。
モニターを見入る人間がビデオカメラによって写され、同時にその内容は各会場ごとにすり替わって展開していく。この一連のシリーズにはこのような共通項があります。さらにオープニングの仮設スペースも一時的なフェイクにしてしまうこのプロジェクトは、虚像と実像、イメージと現実の関係、またはその反復とズレという芸術における普遍的テーマについて考えさせるものとなるでしょう。
「On Reflection」＝「よく考えて」というタイトルは、対象をただ見るだけでは見過ごされがちなこれらの問題について、反芻してほしいという作者の意図を感じさせます。（S）

（photo：S）