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作家コメント:絵画にまつわる既成概念をすべて忘れ去るために(イデオロギーを持たないこと、目標を持たないこと、造形的になりすぎないこと、自然に寄り沿いすぎないこと・・・)作品が自律するためには、自分独自のシステムを作ることで、客観性を持たなければならない。そこではまず、自分をすてること(個的なイメージを追い求める限り、永遠に他者はあらわれない)、対象をもたないこと、ここでの作画の距離は、形式という枠組みにこだわることから多様な内容が生みだされることを信じて、自分でイメージできない手法から始められる。具体的には、水をたたえた画面に、部分から全体へドリッピングをくり返し、コントロールしながら動かしていく。ここでの変容のプロセスから生みだされた現象は、現実の現象に似てくる場合が多々ある。しかしながら、これはあくまでも素材と技術の持つ条件のあらわれであり、自然を模倣するためのものではない。システムが生みだす現実がヴァーチャルなものとなって出現しているのである。
(チバ・アート・ナウ'97 カタログから抜粋)
報道資料:
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