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“Fence, a border, boredom”

伊藤 洋介


会期:2001年4月16日---4月28日

作家名:伊藤 洋介
     イトウ ヨウスケ

形態・素材:紙に写真転写、照明ライト

展覧会DM

今回のギャラリーサージのプロジェクトは、昨年2000年、国際交流展Puddlesにおいてドイツで行ったプロジェクトの東京ヴァージョンである。ひとつは、東京の鉄道沿いのフェンス風景を印刷した紙片群の裏面に、ドイツ・ケルンの同風景のスライドを投影したもので、他方は、世界各地から送られたフェンスの画像FAXを、ロール紙のままフェンスのように立ち上げたインスタレーションである。

作家コメント: プロジェクト 「Fence, a border, boredom」
ドイツの都市で、いつのまにか中心部から外れ、鉄道沿いを歩く。カメラのファインダーに切り取られた風景は、一見どの国、どの場所でもほとんど変わらない。この変わらぬ風景、例えば東京とケルンの映像が重複したとき、「イメージ」のメカニズムを探れるのではないかと思い立った。
あるものに焦点を当て、それを凝視するとき、そのものを見ようとすればするほど、背景のなにものかが気になってしまう、ということがないだろうか。また、それが残像となった際、その茫漠とした背景が、むしろ中心にとって変わり記憶として保存される。その集積が、後の視覚体験に関わるとすれば…。
見ようとするとスライドしてしまう…。プロジェクトは、これら「イメージ」と呼ばれるであろうもののメカニズムを具現化する手段として、フェンスを通して見た映像にたどり着く。紙片群を印刷・投影のスクリーンとし、現実とイメージのショート・サーキットを構成する。「風景」の生成、またそのもととなる「イメージ」のメカニズム…東京とケルンの、一見同一な風景が紙片の表裏に展開した際に炙り出されるのは、裏切られ続ける注視の残滓であり、インスタレーションは、その断片をスローモーションのように追体験する装置となるだろう。FAXプロジェクトでは、これらに「情報」という項目を加えた関係を想定した。
境界の、もっとも脆弱な形態ともいえるフェンス…紙片は危うく立ちあがるようセットされ、わずかに遠近のイリュージョンが示されるよう、パースぺクティヴ・ラインが印刷される。ボーダレスと呼ばれ、様々な「境界」が不可視となる現在、人はむしろボーダーが見えないという危うさに苛まれ、危うさ自体を強固なものとして再投影するだろう。仮のスクリーンに…遠近が無効となる世界への恐怖、退屈さの恐怖から逃れるために。
「平板な退屈さ」を回避しようとする結果、「退屈な平板さ」フェンスを見出すにいたる…それらが感知されたとき、インスタレーションは別の回路へとシフトする。それは「普遍」への迂回路となるのか、あるいはその断末魔か…。 


作品資料:
展覧会DM(表)
作家テキスト
作家テキスト

報道資料:


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