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作者コメント: 今の世の中、暗い話題には事欠かない。ほとんどの人が、何かしらの危機感を抱いて生活しているのではないだろうか。そういう時代に生きながら、何を表現していったらいいのだろうか?・・・せめて「絵画」くらいは、明るく楽しいものであってほしいと思う。そして、それは日常からかけ離れたものではなく、日々の暮らしの中から小さな幸福を見つけだすようなものであってほしいと思う。
日常の中から、視覚的に美しい瞬間を見つけだし作品にしていきたいと思ってきた。普通に生活を送る中で、ピンとくる瞬間に出会うことがある。ある時間帯の日差しや偶然に置かれたものの配列などが、そうした瞬間を生み出すことがある。そして、それは単なる「見え方」に留まらず、見るものに幸福感を与えてくれることが、しばしばある。
「日常」ということと「光」というものを意識しながら制作するなかで、「ガラスのコップ」をモチーフにすることが、これまで多かった。つい「コップ」に目が向いてしまうのは、「コップ」の中に見える抽象的な色面に、興味が尽きないためである。
「コップ」にしても、その他のものにしても、モチーフを「シルクスクリーン」の「カッティング」という手段で表すことで、ある程度の「形の整理」というのは、自然にできてしまう。けれど、その作業の楽しさに留まることなく、さらに考えを整理して、もっと明快に意図を表現することが、今後の課題だと思っている。
報道資料:
- ぴあ 98.5/18 表示