s297

“spin”

天野 豊久


会期:1998年3月9日---3月21日

作家名:天野 豊久
     アマノ トヨヒサ

形態・素材:コンピュータ、テキスト、画像

展覧会DM

(photo:S)

作家コメント: さまざまなメディアにおけるコミュニケーションのチャネルは、常に、ディスコミュニケーションを顕在化します。それらの情報伝達は、常に不完全でしかあり得ません(ある出来事の100%を伝達することは出来ない)。そして、不完全な情報は、私たちひとりひとりのコードによる解釈(補填)によって理解されます。コードの差異を直接他者と比較することは出来ません。ここにコミュニケーションの不可能性が存在します。それは、すべて、「私」という限界に起因するようです。
私に認識される情報は、必ず「私」の解釈(補填)を受けてしまいます。「私」を拭い去り、何かを語ることなどできない。

"spin"というコトバは、「回転する」などの他に「紡ぐ」という意味を持ち、また、物理学においては素粒子の運動を示す概念として使われます。個体は、小さなエレメントの集積として存在します。そこには、個体差を越えた共通の物理的な振舞いを見ることができます。そして、素粒子における最小の運動が私たちに時間をもたらす。これらの小さな単位を紡ぐことからすべてがはじまります。私の身体に内在する小さなエレメントの振舞いは、私には、越えられぬ「私」を超越したレヴェルにあるようです。それが、私たちに何かを示唆するのではないかと感じます。

そして、今一度、自らの存在を見つめ直すところからはじめなければならない。
今回の作品は、身体にまつわる映像と、時間と空間について記したテキストをモチーフとし、「私」を主題として展開します。



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